今週、某地域銀行XのトップPさんと会いました。
Pさんは組織的継続的な顧客本位の持続可能なリレーションシップバンキングに本気で取り組んでおられ、頭が下がります。
競合する地域銀行Qが、性懲りもなく融資ボリューム増に血道を上げているのと好対照です。
ご多分に洩れず、かつて X銀行も他と同様、ボリューム重視のプロダクトアウト症候群だったと思います。その結果、厳しい状況に陥ったと考えられます。
そのまま放置していたら、このたびトップが交代したF銀行や、取締役相談役などというキテレツな役職の人が退陣したS銀行のような末路になっていたかもしれません。
X銀行の現場は、すぐには意識変革ができず、まだまだ混乱があるようですが、Pさんは「現場が腹に落ちるまで何度も何度も繰り返し言い続ける」と穏やかな口調でおっしゃる。
Q銀行 (← ワタシにはアホにしか見えないのですが) の低金利攻勢もどこ吹く風。
ワタシには伝道師のように見えました。
地元メディアに対しても、地域銀行のビジネスモデルのあるべき像と、そこへ向けての真摯な取り組み姿勢を、繰り返し繰り返し発信し続けておられるようで、同銀行に対するメディアの論調も明らかに変わってきているとのこと。
たしかに地域銀行の決算発表に関わる地元新聞の書きぶりをみると、よくわかります。
収益環境が厳しく、益出しのネタ (株式の含み益など) も切れ、さらに固定資産の減損処理 (本日の日本経済新聞一面トップ記事に衝撃を受けた人も多いのでは) が覆いかぶさり、地域銀行の選択肢は、組織的継続的な顧客本位の持続可能なリレーションシップバンキングしか残っていません。
とはいえ、そのためのハードを備える (美辞麗句の作文、専門部署の設置など) だけでは動きません。
銀行の最重要資産 (無形資産ですが) であるヒトがその気になって動かなければ、地獄から戻ることはできないでしょう。
Pさんの布教活動の成果が出るまでの所要時間は長くありません。
組織的継続的な顧客本位の持続可能なリレーションシップバンキングは、地域銀行の経営理念そのものであり、そこで働く人たちは経営理念に共感して入社したからです。
X銀行の今後の展開に期待します。
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追記:
「多胡は口が悪い、辛辣だ。」と言われますが、本気で頑張っている人には熱いメッセージを送り、陰ながら応援します。