本日の日経新聞にある公正取引委員会の記者会見 (12月6日) の内容を読んで、違和感は感じませんでした。
統合合併は「顧客に不利益ならば認めず」。その原理原則、まったくその通りだと思います。
一方、当該記事にある、
「地銀の厳しい収益状況を考えず、競争環境という原理原則ばかり押し付けてくる。」(関西地方の地銀幹部)
というコメントには、疑問を通り越して、呆れました。
銀行の収益環境が厳しければ顧客に不利益を与えても良いのでしょうか。顧客あっての銀行なのに何様だと思っているのでしょう。地域銀行が積み上げた純資産は地域のお客様との長年の取引に基づくものだということを忘れています。
地域顧客との共通価値の創造(CSV)という視点の欠落した、夜郎自大な自己中心ぶりを白状しています。地銀幹部だったら金融行政方針を読んでいると思うのですが、、、
「統合で金利が高止まりしても競合行が他地域から参入して競争は続く」とのことですが、わかっていませんね。
そういう現象は地元金融機関だけでなく、他地域の金融機関が取引したくなるごく一部の優良顧客(Aのゾーン)だけに限定された話なのです。
よそ者である他地域の金融機関が相手にしない大多数の顧客層 (Bのゾーン) に不利益が生じないよう、公正取引委員会は競争環境を精査すべきだし、そのように行なっているものと推察します。
Bゾーンは少なくとも地元資本の金融機関でなければしっかりと支えることは難しいからです。ある意味、地元資本というのは必須条件です。
長崎のケースでは、十八銀行がふくおかファイナンシャルの傘下に入ると地元資本の銀行は完全消滅します。
Bゾーン顧客に不利益が発生する可能性を否定できません。
詳しくは地域の魅力研究所のニュースレター (38号、2017年9月) をご参照ください。
http://www.jimiken.org/file/201709_NewsLetter2.pdf