昨日の日本経済新聞夕刊に、海士町長の山内道雄さんの引退記事が出ました。
「島根県隠岐諸島の海士町(あまちょう)は農水産業などの振興を通じて移住者を呼び込み、離島活性化のモデルと呼ばれる。町長として4期16年、その指揮をとった。15日告示の町長選に出馬せず、30日の任期満了に伴い引退する。『やり残したことはない』とすがすがしい表情だ。」(同記事)
昨今の政界官界のドタバタ劇や、日大アメリカンフットボール部の事件に登場する、品性品格の欠落した役者たちにうんざりしていたときに、山内さんの写真を見て、久しぶりに爽快感が身体の中を駆け抜けました。
10年前に、山内さんの著書「離島発 生き残るための10の戦略」(NHK出版、 2007) を読んだときの衝撃は忘れることができません。
ワタシは当時、鹿児島と山陰の2つの地方銀行の仕事をしていたこともあり、鹿児島県徳之島の行政 (3つの町) からの依頼で、山内さんに徳之島の活性化のためのシンポジウムの講演をお願いしました。
すでに引っ張りだこの状態であったにもかかわらず、「離島のためならば喜んで」と、ご快諾をいただいたのです。
隠岐牛というブランド牛を作り上げた飯古 (はんこ) 建設の田仲社長、東京出身で海士町の教育改革を進めた岩本悠さんも来られ、徳之島町の体育館は満席となり、立ち見客がたくさん出ました。
「空席が目立った県知事の講演会 (前月に開催) とはえらい違いだ」と、島の人たちが唸るように言っていたことを、昨日のことのように思い出します。
隠岐の島から、松江、東京、鹿児島を経由して、足かけ3日をかけて徳之島まで来ていただいた山内さんたちのパッションを、島の人たちはしっかりと受け止めたと思います。
ただ、そのあとが、、、
山内さんの講演を聞いた市町村はたくさんありますが、「良い話を聞いた」で終わっているように思います。
もったいない、残念、もっと言えば、山内さんたちに失礼。
リーダーの情熱と本気度が欠落していることに他なりません。
——————–
人口減や高齢化の悩みを抱える自治体は多い。「陳情による補助金頼みの行政から『稼ぐ行政』への脱皮が重要。地域は経営するものという視点を持ち、トップ自らが情熱と本気度を示さなければ」とアドバイスする。(同記事)
——————–
ワタシが、6年前に海士町を訪れた時にも、山内さんは「本気度」という言葉を何度も発しておられました。
教えていただくばかりで何もお返しできませんでしたが、心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。
※※※※※
2012年8月19日〜22日の、このブログをチェックしていただくと、ワタシの海士町紀行が出てきます。
ご高覧ください。