本日の日経電子版にある鹿児島県の第二地銀、南日本銀行の田中新頭取のインタビュー記事です。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC2866E0Y3A720C2000000/
「当行は(販路開拓支援の)WIN-WINネットというシステムがある。これを使った事業再生が我々の生命線といえる」とありますが、南日本銀行は金融機能強化法による公的資本を導入して数年後にWIN-WINネット業務を中核に据えました。
後続して同様のコンセプトを取り入れたのが豊和銀行(大分市)、宮崎太陽銀行ですが、これら日豊本線3行は金融機能強化法の活用に関して模範的な対応というのが、10年間金融機能強化法の審査を行なったワタシの印象です。
公的資金の返済後の資本充実には地元による支援が不可欠であり、そのためには公的資金を活用した業務運営が本当に地元の事業者の役に立っているか(つまり、返済ありきの銀行本位になっていないか)という視点が非常に重要です。
南日本銀行も宮崎太陽銀行も公的資金返済との関連で第三者割当増資を行っていますが、地元からの強い支持の背景には「公的資金を活用した顧客本位の経営があった」ものだと確信しています。
この点に関する田中さんの話は示唆に富んでいます。
――昨年、公的資金を完済した。今後の業務への影響は。
「公的資金を入れるまではぬるま湯的な雰囲気があったが、『配当しないと、返済しないと』と行員の意識が変わった。私の携わった企画部門などでも、金融庁と直接対話することで能力が上がった。具体的には全国区で考えてどう見えるのか、という目線を常に持つようになった。完済で一番不安だったのが、その目線がなくなることだ」
――取引先の本業支援強化へ第三者割当増資を実施し、地元の33社が応じた。その経緯は。
「各分野で力がある企業を選んで、1社1社お願いにうかがった。コロナ禍でもあり、金融庁も当初は出資が集まるか疑問視していたようだ。それでも快く引き受けていただいたのは、地域を支える金融機関としての期待が強かったからだろう」