本日、2本目の発信です。
最近、参加した会合で企業再生支援(製造業)の事例を聞いて感じたことを書きます。
405事業の認定支援者として再生に関わったベテラン専門家の方が、当該事業者の課題を明快にえぐり出していました。
品質管理は群を抜いており、既存受注は増加、新規のオーダーも入る状況でありながら設備が古く、多くを外注に頼らざるを得ず、外注費の多さが売上総利益率をどんどん圧迫していました。
答えは設備更新で、生産過程の内製化により利益率は飛躍的に改善するという見立てです。
ところが、どこの金融機関も設備資金対応しない。条件変更先だからというのが理由。
ワタシが違和感と失望を感じたのは、当該企業のメインが、事業者支援のスキルの高い人材をそろえた全国でも有数の金融機関であることです。
この金融機関の職員にとって難易度がさほど高いと思えず、それどころか事業性融資案件が喉から手が出るぐらいほしい地域金融機関にとっては取り組みたい案件に属するものと思います。
それが条件変更先だからと放置されているのです。
金融検査マニュアル時代のまま。
そして、融資がすべて信用保証協会の保証付きだから、当事者意識が希薄化し、足が遠のいているのではないか。
この事例では、たまたま信用保証協会の職員(もともと製造業の勤務経験あり)が、書類審査の中身に不自然さを感じ、当社を訪問したことで問題の所在と解決策を直ちに理解し、事業再生に関する保証などにより対応し、ことなきを得ましたが、
信用保証協会が経営支援業務に熱心ではないケースだと完全にエアポケットに陥ってしまう恐ろしさを感じました。
◎追記:
① 組織的な経営支援業務で実績のあるX県信用保証協会の幹部の方にこの話をしたところ、
「これは信用保証協会の出番ですね。我々のところだと【新規受注が増えている】⇒【社内加工できなくて外注増加】とわかった時点で、担当者は『これ、中古の機械を買ったらいくらぐらいですか? 1千万で買えますか?』と反応します。そして購入費用とランニングを考えて採算を計算するはずです。」
② 資金繰りも含む事業再生支援に組織的に取り組んでいるP信用金庫の幹部の方からは、
「確かに審査部門が強すぎると、『条件変更イコール、一発アウト』的な考えになる傾向にありますね。ですから我々にところでは、常に経営改善再生支援部門が審査部に噛み付いています、そうすると営業店もチャレンジするようになるんです。条件変更先こそ我々にはお客さまのお役に立てるところが多いのです。間違いなくビジネスチャンスです。」
———
X県信用保証協会も、P信用金庫も、少数派です。