🚩ジリアン・テットさんの論考〜リーマンショックから15年

昨日の日経朝刊に、リーマンショックから15年ということで、ジリアン・テットさんの論考「金融規制、監督機関に課題」が掲載されていました。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230920&ng=DGKKZO74552920Z10C23A9TCR000

リーマンショック以降、自己資本と流動性の規制がどんどん厳しくなっている割に、「何より見過ごされてきたのは、金融の監督体制だ」(記事より)という観点から、国際通貨基金(IMF)の新たな報告書「優れた監督・現場からの教訓」について書かれています。

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~「多くの先進国、新興国、発展途上国は、明確な安全性・健全性の使命や十分な権限、そして職務の遂行における法的な保護を備えた独立した銀行監督機関を欠いている」とIMFのチームは断定した。さらに「監督のアプローチ、テクニック、ツール、そして特に是正命令と制裁の権限における不備もまん延している」、と痛烈な指摘をしている。

~米地銀シリコンバレーバンク(SVB)が今春破綻する前、同行が深刻な苦境に陥っている兆候がいくつもあった。しかし、サンフランシスコ連銀の監督官はこの問題について行動する意思がなかったか、または権限がなかった。問題がみえていたにもかかわらずだ。(中略) サンフランシスコ連銀の場合、(FRBによる)超緩和型の金融政策がSVBのような金融機関にとって債券で危険な賭けをするインセンティブを生んでいると昨年の時点で声を大きく上げるべきだった。実際には声を上げなかった。別の言い方をすれば、政策立案者にとっては資本のルールを修正し、ミスが起きた時に強欲な銀行を責める方が自省するより容易だということだ。

~スイス金融大手クレディ・スイス・グループも今年3月に救済合併されるかなり前から問題があることは明白だった。だが、スイスの規制当局は手を打たなかった。一つには、クレディ・スイスは過去15年間に慎重に組み立てられ、厳格化された資本・流動性のルールには一切抵触していなかったからだ。

(以上、記事より)

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「適切なレベルの資源と独立性、配慮がなければ、監督機関が思慮深く積極的な形で行動するのが極めて難しいことだ。(中略) より自律的に動ける権限が監督機関にない限り、賢明で先を見越した監督体制はなかなか構築できない。」

これも記事の中にある文言ですが、「賢明で先を見越した監督体制」の難しさを痛感します。

★ジリアン・テットさんについてはこちらを、

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