事業性評価シート? その前にやることがある

長期融資の比率が9割を超え、正常運転資金までもが長期化している中で、金融機関は借り手の事業の中身を理解できるとは到底思えません。

まずは「商流に基づく正常運転資金」にしっかりと目を向けることから根本的に見直すべきです。

仕入先、販売先、季節的な在庫の変動などを押さえていく中で、その会社の商品サービスの強み、経営管理面の問題点まで踏み込んでいくことが事業性評価 (私はこの言葉は上から目線で好きではありません) だと考えます。

さらに言うと、ミドルリスク層といわれる事業者の中には、事業そのものが黒字であるものの、財務キャッシュフロー、つまり長期借入金の約定弁済負担で赤字に陥っている先が少なくないのです。

ワタシはミドルリスク層といわれる中小小規模企業や個人事業主のうち、かなりの数は、金融機関が事業取引の中身までしっかりと把握していれば (金融検査マニュアル時代以前の金融機関は当たり前のこととして行っていたこと)、そもそものリスクは甚大なものではなく、不測の事態への予防も含め、問題なく対応できるのではないかと推測しています。

事業性評価シートとやらを作成して、企業のことを理解したと勘違いしている金融機関には猛省を促したいものです。


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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    本当に「計測」というのは厄介な代物です。誰のための、何のための計測なのかがあやふやになると、計測自体が目的化し、数値を上げることが目的化します。その点、稚内信金のベンチマークは極めて良くできています。金融庁を忖度しないところが、イイ。元々の経営理念からかみ砕き、独自のベンチマークを定め、最後にどうしてこういうベンチマークにしたのか、理事長の考えも明示している。もっともこれでも「杓子定規」になってはいけません。堂々巡りですが、「計測」は本当に厄介な代物です。