「動機善なりや、私心なかりしか」
稲盛和夫さんの言葉ですが、十数年前に某地域金融機関において組織的継続的なリレバン活動(「なんちゃって」ではない)を定着させようとしていたときに、トップ(稲盛さんと親しい)が様々な場で繰り返し言っていました。
現場が常にこの言葉を胸にあてて行動するように、とのメッセージだったと思います。
そもそも、お客さまのためにならない目標を絶対に現場に課してはなりません。
顧客本位の目標であっても、それが似て非なるものとして悪用(優越的地位の濫用も含め)されていないか、それを精査するのが営業統括とやらの仕事です。現場の尻を叩いて、数字を集計するだけだと思ったら大間違いです。
顧客本位が組織的継続的に徹底していれば、収益は自ずとついてきます。重要なのは「収益の質」です。
ポイントは短期的収益目標を極力小さくすることです。ここを緩めた途端、なり潜めていたプロダクトアウトの刈り取り族が頭を持ち上げてきます。
組織的対応にほころびがでます。
そうすると顧客本位の看板はあっという間にどこかへ吹っ飛んでしまいます。それまでの努力は水の泡、元の木阿弥です。
改めて、
「真に顧客本位なりや、私心なかりしか」
ごく一部を除けば、地域金融機関の人間の「私心」は「功名心」と置き換えられると思っています。
功名心は悪いものではありませんが、顧客のためにならぬことで功名をあげることは正しくありません。
こういう説教がましいことを繰り返し発信せねばならぬほど、多くの金融機関に染みついた、営業とやらの文化は厄介なものであります。貸し手の優越的地位があるから始末が悪い。
コメント
業推無罪の思想は、結核菌のようなものです。
坂本光司元法政大学院教授が7500社回って、
御社の業績は「成果主義」「利益至上主義」では絶対に改善できません!
として書かれた本「利益を追わなくなるとなぜ会社は儲かるのか」。
副題 社員が120%の力を発揮する最強の経営術。
2016年に発行された本ですが、あるべき経営の姿が示されていると思います。
多胡さんの思いとも通じていると私は思っています。
金融機関経営者また社員・職員には是非読んほしい。そして自金融機関の経営について、自分の仕事の仕方について考えていただきたい。また支援企業先へのアドバイスを考える上での参考にもなる本とも思います。