中小企業政策というと、予算をつける話が次から次へと出てきます。
最近だと再構築補助金。
その実態はヨガ教室が乱立したり、冷凍餃子があふれたり。
予算をつける政策も必要ですが、予算ありきではない中小小規模事業者の支援策をもっと重視すべきです。
信用保証協会の「経営支援業務」です。
2018年4月に信用保証協会の業務見直しが行われ、経営改善・事業再生の促進、再チャレンジ支援等が明記されましたが、
それよりはるか前から、島根県のように中小小規模事業者の経営支援に着実に取り組んでいる保証協会がいくつかあります。
こういう先進的地域を追いかける形で、経営支援業務が全国の信用保証協会に広がり高度化し、コロナ関連融資の返済本格化に立ち向かっている一方で、
掛け声だけで実質的に動こうとしない信用保証協会が依然として存在することも事実です。
「レイジー保証協会を撲滅することこそが、最優先すべき中小企業政策だ」との意見は業界の内外からあり、それがどんどん強まっていますが、
ワタシも、信用保証協会の経営支援業務における地域ごとのバラツキを解消し、当該業務を全国津々浦々でレベルアップすることが、予算ありき政策以上に求められていると思っています。
このような問題意識から、
連休中に「信用保証協会向けの総合的な監督指針」(2022年1月、金融庁監督局/中小企業庁)を改めて読んでみました。
https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/hoshokyokai.pdf
「金融機関等との連携」(10~12ページ)の箇所には、経営支援業務のポイントが明確に書かれています。
一部抜粋します。(太字は多胡)
~中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律(平成 30 年 4 月施行)により、信用保証協会は金融機関が事業の評価に基づく融資や信用保証付き融資も活用して必要十分な信用供与を行いつつ、その後の適切な期中管理・経営支援を実施するよう、促していくことが重要である。
~信用保証協会は、債務の保証を実施した中小企業者に対する金融機関の期中管理や経営支援が行われるよう、金融機関と対話をしているか。
~金融機関による中小企業者への支援を促すことが重要となるが、その支援効果が十分に発揮されない事由がある場合には、必要に応じ、信用保証協会も、自ら期中管理や経営支援を行っているか。
~信用保証協会は、信用保証利用の状況、代位弁済の状況、プロパー融資
の状況や経営改善・事業再生支援の状況等について情報開示を行っている か。
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ところで、
この総合的な監督指針を踏まえ、行政サイドの姿勢は変わったでしょうか。
いくつかの信用保証協会に聞いたところ、
行政サイドの監督検査は、「以前はコンプライアンス一辺倒であったが、経営支援業務についてのヒアリングも行われるようになった」との意見の地域がありました。
こういう地域の中には、経済産業局/財務局と信用保証協会との間で密接な情報交換が行われ、行政と信用保証協会のリードで地域の金融機関や支援組織を巻き込んだ中小小規模事業者のための経営支援セミナー等が開催されているところもあります。
その一方で、行政サイド検査監督は「従来とまったく変わらない」との指摘の地域もありました。経営支援業務が論点に上がっているものの、「ツッコミが足りない、その後のフォローもない」との声もあり、まだまだ十分とはいえません。
行政のスタンスも二極化しているようです。
経営支援業務に関するリーダーシップが感じられない全国組織、さらには行政サイドのツッコミ不足がレイジー保証協会の生息を許しています。