今朝の日経電子版「苦境地銀に永久公的資金、消えない 9月不安説」を読みました。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO60232580R10C20A6EE9000?n_cid=NMAIL006_20200615_A&s=3
~金融庁のある幹部は「第2波が訪れた時に事業継続の意欲を失い、自主廃業する企業が続出するのではないか。その余波で銀行が収益を失った時に何が起きるのか。銀行自体が店じまいすることだってあり得る」と危機感を隠さない。(同記事)
コロナ禍があぶり出した地域金融機関の最大のリスクが「廃業加速による収益基盤の崩壊」との金融庁幹部の言及は正鵠を射ています。(拍手)
この記事を読んでの感想は「そういう視点もあるのか」というものですが、ワタシ自身はもっと楽観的です。
つまり、地域金融機関の問題は【経営トップと経営陣次第】で、そこにメスを入れれば十分解決の余地があると思っています。
経営トップが変わることで、別組織のようにまともになった地域金融機関は少なくありません。(逆もありますが)
たとえば、昨日のブログで取り上げた広島市信用組合はその典型例です。(都銀と大手地銀の経験しかない前経営者のもとでは多額の不良債権で苦慮していました)
(1)地域金融機関にはカネだけでなく、地域屈指のヒト、情報、ネットワークが集積しています。
(2)さらに昨今の規制緩和により、多様なビジネスモデルを描ける環境が整備されました。
(3)SDGsもそうですが、株主が短期的な結果だけを求めるのではなく、長期的な持続可能性に目を向けるような流れも出てきました。ある程度の時間軸が容認されるということです。
これらの要素に注目すれば、(多くの地域金融機関に対する否定的な評価に反論するつもりはないものの)地域金融機関がダメなのではなく、問題は経営者にあるものと考えます。
翻って、金融機能強化法の改定、今朝の日経電子版でいえば永久公的資金ですが、「経営責任を問わない」ことがその有効性を抑制するように思います。
率直にいえば、公的資金導入に至るまで業況悪化(←廃業加速★)をもたらした当事者である地域金融機関の経営者に、公的資金による資本参加の決断をさせ、その経営者に引き続き舵取りを任せることが果たして良いのでしょうか。
公的資金注入は経営者交代とのセットで行われるべきです。
「レイジーバンクの経営者は自分の首を切るような公的資金注入の決断をしない」、そりゃそうでしょうが、そこを探究型対話でなんとかしてください、金融庁さん。
追記:
★:このブログで再三書いていますが、廃業加速に歯止めをかけるためには、地域金融機関がウイズコロナ・ポストコロナの顧客の事業展開の絵を一緒に考えていくことが不可欠です。ところが、ゼロゼロ融資などの資金供給だけがコロナ対策だと勘違いしている地域金融機関が多いことに強い懸念を持っています。こういう地域金融機関はレイジーバンクであり、その結果、廃業が加速し、収益基盤が崩壊して公的資金と言われても、「はい、そうですか」というわけにはいきません。