ほとんどの場合、地方ではビジネスホテルに宿泊します。
最近のビジネスホテルは競争環境が厳しいせいか、部屋の広さや朝食の充実度(もちろん朝食無料という対極もあるのですが)でハイレベルな勝負をしているように感じます。
先週の長崎も今週の松江もそうでしたが、秋の行楽シーズンでもあり、ビジネスホテルは、たくさんのお客さんであふれかえっていました。
ビジネスホテルという割には、ビジネス客たちの影は薄く、私のようなビジネス客たちは団体観光客の勢いに押されて、朝食会場でも端で小さくなっています。
シニア層の団体観光客とともに、最近しばしばビジネスホテルで遭遇するのが、修学旅行生らしき集団。
昨今、ビジネスホテルは元気の良いところが多いようです。というよりは、もはやビジネスホテルという言葉は死語で、高品質のバジェットホテルと言い替えるべきなんでしょうね。
このあおりを食っているのが従来型の観光旅館ではないでしょうか。
実際、ある地域でここ5年ぐらい、毎月の温泉旅館街(県庁所在地近郊)への入込客数を定点観測しているのですが、つるべ落とし状態。春の観光シーズンも夏休みも、そして秋の観光シーズンも前年同期比でほぼマイナス値が連続しています。
かつて、旅館は美味しい料理(夕食)に温泉(もちろん温泉地の場合ですが)があることがビジネスホテルとの基本的な違いでありました。そこに、「おもてなしの心」が加わって、完全な差別化ができているように思えました。かつては。。。。
ところが、有名旅館であっても、資金繰りに窮し、オーナーが変わることで低価格路線の旅館として再出発し、抑えた単価に相応した接客とバイキング形式の食事のところが増えてきています。「往年のあの有名旅館が、、、、、」というケースにしばしば遭遇し、唖然とします。
その一方で、いまや温泉大浴場(循環式ではありますが)の設置されたビジネスホテルが、さほど珍しくもなく、夕食は地元の割烹料理屋などでの外食の人気が高いように思います。
究極的には、かけ流しの温泉、段違いのハイレベルな食事(たとえば、唐津の「洋々閣」さんや山中温泉の「かよう亭」さんのような)、顧客が完全脱帽する”おもてなし”、といった水準でなければ、かつての旅館のコンセプトを維持することは不可能になってきているのではないでしょうか。当然、単価は安いはずがありません。
本日は地域おこしや観光による地域活性化で実績を上げておられる方たちとお話しをしましたが、旅館は「料理、温泉、おもてなし」に加えて、新たな付加価値を考える段階に来ているものと感じました。
当然ながら、その付加価値というのは、顧客セグメントごとのストライクゾーンにピタリとはまるものではなければなりません。そうしなければ高い単価を取ることができないでしょう。
個人顧客の価値観が多様化する中で、このニーズにきめ細かく対応していくには、大型旅館のコンセプトでは対応は難しいと言わざるを得ません。
コメント
このブログの存在を初めて知りました。
さすが!!
通常コメントとかしないのですが、今日はずっと遡って拝読して勉強になったので、コメントしてみました。面白かったです。
後ほど、お目にかかります。
コメントありがとうございます。
過分な評価をいただき、恐縮です。
引き続き面白いネタを提供いたします。