9月16日の本ブログで東京商工リサーチのメインバンク調査について書きました。
同調査によれば、全国150万社のうち3メガバンクをメインとする企業は2割強。東京となると3メガのメインシェアは6割まで上昇するとのこと。
東京商工リサーチの調査におけるメインバンクの定義はわかりませんが、おそらく中小企業は借入額の一番多い金融機関を念頭にあげているものと推察されます。
また、中小企業の意識としても、「メインバンクはメガバンクとか、地域で一番大きな金融機関としたい」のではないでしょうか。
しかるにグローバル化し多様化するメガバンクの業務の中で、国内の中小企業取引は相対的に収益力 (コスト・リスク調整後) のある業務とは思えません。中小企業経営者とのプライベートバンキングビジネスや事業承継などの業務での収益は見込めるものの、労力のかかる事業再生やミドルリスク層へのコミットメントとなると抑制的な姿勢となっていくように感じられます。
また地域金融機関も昨今の収益環境の悪化から、与信費用を削減したり (つまり業況の悪い企業には貸し剥がし) 、手間のかかる事業再生への取組みがおろそかになっているのではないかと思います。
このような流れを念頭に中小企業と話をすると、融資金利が低い金融機関よりも、業況が悪くなった時に「逃げない金融機関」の方に重きを置きます。
先日、某地方紙とのインタビューで以下の話をしました。
「 “業況が悪くなり、資金繰りに窮した時に、親身になって支援してくれる金融機関はどこですか? それこそがメインバンクです” という定義で、地元中小企業のメインバンク調査をやってください。」
ちなみに東京商工リサーチの調査では、この新聞社の地域ではメガバンクのメイン比率はかなり高く、私見ながら同地域の地域金融機関は事業再生に熱心とは到底思えません。
果たして東京商工リサーチの調査と同じ結果が出るでしょうか ⁇
コメント
中小企業の再生支援の現場では、融資ボリュームがNO1であっても、「精神的なメインさんはあちらです」といって逃げる金融機関が多くあります。
支援をリードする金融機関がはっきりしないまま、金融機関の協力を得られないまま、いたずらに時間が経過し、企業側は一掃窮地に追い込まれるケースは意外に多いようです。
しかし、うまくいかない責任を「コンサルタントに押し付ける」という点では協調できるようです。
東北に行くと「精神的メイン」とメインが違うという会社が多いです。
名古屋のように「オールぶら下がり融資」の銀行ぞろいの地区を見ると恐ろしく思います。
資金を絞り、付け替え工作を露骨に行い、、融資順位が逆転した途端メインではないと主張する金融機関があります。、一方、数字が欲しいためその付け替え工作に乗ってしまい、ボリュームが逆転した後、会社実態にようやく気が付き、慌ててあちらが精神的メインですと主張する金融機関も多いのが実態です。
どちらもどちらですが、地域金融に対する自覚のなさと、業推無罪の思考には嫌気がさします。