統合合併が目的化する危うさ

新聞報道によれば、明日26日に長崎において、金融庁による「地域金融の競争のあり方」についての説明会が行われるとのこと。

長崎の人たち (金融機関のみならず県庁、市役所、商工団体も) に対し、統合合併が顧客本位の持続可能なビジネスモデルをレベルアップするための「手段」であり、「目的」ではないことを、改めてしっかりと伝えてもらいたいものです。

昨今、県や市のトップの発言が報道されていますが、失礼ながら「合併して大きくなることは良いことだ」という情緒的レベルの域を出ていないように感じられます。

地元顧客 (とくに小規模企業や業況の厳しい企業のような金融排除の懸念のある層) の声をどこまで聞いた上での発言なのでしょうか。

「大きくなること(手段)から、如何にして顧客本位のレベルアップ(目的)に繋げるか」というところが最も重要なのですが、この点の銀行側の説明は不十分と感じざるを得ません。

統合合併のために、しゃにむに債権譲渡を進め、強引にシェア調整を行うという展開は、顧客本位とは対極にあり、統合合併が「目的化」しているとしか思えません。

そもそも顧客本位という視点に立てば、地域金融機関として絶対におろそかにしてはならない原点があるはずです。

「地域金融の課題と競争のあり方」報告書の18ページ (下記) に書かれている通り、地域密着型金融の原点ともいえる事業性評価による融資、事業支援に磨きをかけることです。

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比較的規模が小さい、業績が必ずしも良好ではない、又は担保となる資産を有していない企業においては、経営統合後に金融機関からの借入れがより困難とならないようにすることが必要である。
しかし、現在の地域銀行の一般的な貸出姿勢を調査すると、担保・保証への依存度合いが高く、企業の事業性評価が出来ていないところが多い。従って、こうした企業においては、経営統合以前の時点で、借入先の選択可能性が限定されている。すなわち、この点については 寡占・独占の弊害と言うより、むしろ担保・保証の有無にかかわらず事業性を見た融資が普及していないことに問題の本質がある。
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まさにここに問題の本質があるのです❗️

26日の長崎における説明会がどのような展開となるか、注視したいと思います。


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