長崎の地銀統合の結論が夏までずれ込み、宙ぶらりん状態がさらに続くとの報道に接し、メルトダウン状態にあると言われる十八銀行の組織が果たして持ちこたえられるのか心配になります。(余計なお世話だよ、と言われるかもしれませんが)
統合合併の話が出て以来、同行からは若手を中心に相当数の職員が去ったと言われています。ダッチロール状態が続く中、士気を保つことは容易ではありません。
銀行の従業員もそうですが、地元顧客の不安はいかばかりか。
統合しようがしまいが県外金融機関から借りられるような優良企業を除けば、公取委の主張する通り、統合するとほかに借り先がないため懸念を示す地元企業は非常に多いものと推察します。
11日に発表した「地域金融の課題と競争のあり方」報告書 (by 金融仲介の検討会議) の中にも記載されていますが、ワタシは統合合併は顧客本位の持続可能なビジネスモデルを推し進めるためのあくまでも手段であり、目的ではないと思っています。
ですから、他に借り先がない、こういう顧客層の懸念をいかに払拭するかが一番重要なのです。
合併統合を目指すのであれば、銀行は金融庁への申請の際に「統合で捻出される余力を離島などの過疎地への金融仲介や、地域企業の経営改善・事業再生から逃げない‼️」とコミットすることが必須です。
金融庁は、銀行からの申請内容を厳しく審査し、合併統合となったらその後のモニタリングをしっかりと行うことが求められます。
ここが報告書の要諦です。(報告書はこのように読んでもらいたいものです。しゃにむに合併統合をあと押ししているわけではありません)
このプロセスを正当に踏まない限り、顧客本位の統合合併とはなりません。
言うまでもありませんが、これらの層は債権譲渡の対象先ではありません。
一方、債権譲渡を持ちかけられる先は、他の金融機関から借りることのできる比較的優良企業となるでしょうが、彼らも従来からの金融機関との取引関係を根本的に見直すこととなり、大変な労力が必要になります。こういう企業の視点でも、とても顧客本位とは言えません。
「顧客本位の持続可能なビジネスモデルのレベルアップのための統合合併」という本質からどんどん乖離していることに憤りを感じます。
顧客軽視は論外です。
コメント
本日、長崎に帆船祭りを見に行ってまいりました。
日本丸が来ていませんでしたが、大変な活況を呈しておりました。また出島周辺も橋が架けられ美しく様変わりしており、街には外国人をふくめ多くの観光客で溢れていました。我が出身県と比較して観光資源の豊富さにただただ羨ましい思いをいだくばかりでした。
このような美しい県で顧客無視の泥沼のような地銀の再編劇が2年間も続いていることは非常に驚くべきこと事だと思います。このような豊富な観光資源をもとに十八銀行側は観光を中心とした地域活性化をやろうと思えばいくらでもやれると思います。
そのコミットにより顧客の支持を得て単独でも十分生き残りは可能のように思いますが理想論でしょうか。
ミュウミュウさん
おっしゃる通りです。長崎よりももっと経済環境の悪い地域の地銀で頑張っているところはあります。
「県内で一つの銀行も残らない」とかいう分析があり、世の中がそれに振り回されていますが、トランザクションバンキングを前提とした数値です。地域金融はそのような単純な話ではないし、この分析には一番大事な顧客の視点が全く入っていません。トラバン、プロダクトアウトは終焉する中で、各金融機関はいろいろと動いています。
十八銀行の選択は果たして正しいのでしょうか?