日経東北版「変わる東北金融地図〜揺れるリテール戦略」シリーズ3回は、手垢のついた感のある(失礼ながら)地方銀行の経営者のコメントではなく、協同組織金融機関の経営者と日銀支店長にフォーカスした実のある興味深い内容でした。
秋田県信用組合、青い森信用金庫の経営者に続く、最終回(本日)は大山日銀仙台支店長へのインタビューです。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC08D4A0Y1A201C2000000/
〜「日銀の一連の支援策は経営基盤強化の動きに対してエールを送るような制度だ。本業の粗利益に対する経費の割合(OHR)を改善することで金利を上乗せする支援策は多くの申請があった。ただ、地域経済などの状況を見て経費削減をしている状況ではないと判断し申請しなかった金融機関もある。」(当該記事より)
そもそも日銀当座預金への特別付利は「地域経済の持続的な発展に貢献すること」が適用を受ける大前提であり、ここにある「地域経済などの状況を見て経費削減をしている状況ではないと判断して申請しなかった金融機関」の経営判断は真っ当であり、顧客本位の金融機関として大いに評価できると思います。
さらに、
大山さんの「小規模金融機関だからこそ顧客サービス向上の意識をそろえるのが容易」という視点も、地に足がついていて共感に値します。
〜「地方銀行や信用金庫、信用組合は業態による営業領域の差はあるものの、すみ分けは事実上もうないのではないか。デジタルトランスフォーメーション(DX)の後押しや企業のマッチングサービスにしても、規模が小さい金融機関では難しいわけではない。小規模な金融機関だからこそ、顧客サービス向上に対する意識をそろえるのが容易なのかもしれない。」(中略) 大山支店長は「事業者を支える力は、どれだけ多く貸し出せるかという資金力には出てこないのではないか」と話す。(当該記事より)