予想通りとはいえ、ついにFRBがゼロ金利解除、0.25%の利上げに踏み切りました。これは金利上昇の号砲に過ぎません。
旅芸人ブログで再三警鐘を鳴らしていますが、巨大な海外金利リスクテイク行なっている地域金融機関は多く、とりわけ資本余力が十分ではない一部の信用金庫・信用組合は極めて危険な状況に陥っていると考えています↓
海外金利リスクは、決算書に出てくる「その他証券」のところに内包されており、主なものは投資信託と外国債券です。
「その他証券」残高と「純資産」のバランスは重要なチェックポイントだと思います。前者が後者に比して極端に大きいようだと要警戒です。
有価証券運用に積極的と業界の事情通から教えてもらった、協同組織金融機関Xのディスクロ誌を眺めています。
確かに「その他証券」の残高が「純資産」額の数倍となっています。
「その他証券」において、海外金利リスクを取っているものがどれだけあるかは分かりませんが、もし仮にここが大きいようだと今後、大打撃を受けかねません。
Xは地方に本店を構える多くの協同組織金融機関と同様に、預貸率が低く、有価証券運用残高が融資残高を大きく上回っています。
預貸率が低いのは大都市圏でもないかぎり構造的なものといえるのですが、
①反社会的勢力でない限り、原則地元顧客からの依頼であればミドルリスク層であろうが、すべて何とか貸そうと尽力した上での低い預貸率↓と、
②担保や保証に頼り、ミドルリスクにプロパーなどもってのほか、かつメインバンクにはならないという融資方針、つまりぶら下がり融資の結果としての低い預貸率、
とでは雲泥の差があります。
地域情報を集めてみると、Xの融資姿勢はコテコテの②であり、ワタシの目には協同組織金融機関とは映りません。ノンバンクや質屋金融となんら変わらない。
「融資姿勢はノンバンク、有価証券運用の中身は預金を預かる金融機関のものというよりは運用専門会社」、金融機関Xはそのように見えます。
ノンバンクと会社型投信が融合したような“奇妙な組織体“に、協同組織金融機関に対する軽減税率を適用していいものかと疑問に思います。
さらに言えば、そもそも預金保険の対象にすべきものなのでしょうか。
コメント
私も最近、さる信金さんのディスクロージャーを見てみましたが、「その他証券」の額が非常に大きいのに驚きました。
その信金さんの地元経済でのスタンスがどうなのか分かりませんが、ウクライナ危機が深刻化し、エネルギー価格が上がって、海外投資のリスクが不安定になっている状況で、しかもこれからポストコロナで大量の信用供与の後始末をしなければならない中で、自分達の足元の信用状態のマネジメントは大丈夫なのか、不安になります。
ランスロさん、
そういう信用金庫や信用組合が少なからず存在することに愕然とします。
減損に引っかからないから良いと言った話ではありません。