先週、仙台在住の企業経営者と会った際に、「七十七銀行は変わりましたよ」との発言を聞き、嬉しくなりました。
その話を念頭に本日の日経東北版の同銀行・小林頭取のインタビュー記事を読みました。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59578370R30C22A3L01000/
「逆算経営で組織改革」との表題の通り、経営デザインシートの思想に則ったバックキャスティングでお客さまと向き合い、共通価値の創造につなげていくことは重要です。
小林さんの話には違和感はなく、賛同できるものです。
これを、プロダクトアウトが染みついていると思われる現場にいかに浸透させていくか、つまり属人的取り組みから組織的継続的取り組みとすることができるか、ここが大きな課題と考えられます。
さて、
この記事には有価証券運用に関する Q&A があります。
「21年3月期決算の有価証券残高は全国の地銀の中で3番目に大きく3兆円を超えています。」という記者の質問に対する小林さんの回答は、
「有価証券もある程度、リスクテイクしていく必要がある。相場の上げ下げは気にしないが、信用リスクはよく見ている。定期的に含み益の証券を売り利益を実現している。資本勘定に組み入れて銀行の財務体質を強化させれば、その分、地元のお客さんの信用リスクがとれるようになる。第二の本業的な位置づけにできる」(同記事より)
このやりとりを読んで、
先月の地域金融機関Xの幹部の方との会話を思い出しました。
金融機関Xは、七十七銀行のように「定期的に含み益の証券を売り利益を実現し、資本勘定に組み入れて銀行の財務体質を強化」できるような状況にはなく、有価証券運用で苦戦していました。
「一朝一夕にはできないけど、よく分からない海外金利リスク等ではなく、皆さんが熟知したリスク、皆さんが頑張れば減らせるリスクに“徐々に”シフトしませんか‼️」
と切り出してみました。
「地元の信用リスク」です。
金融機関Xの経営改善/事業再生支援を含む組織的継続的リレバンは全国的にもトップクラスです。(←ワタシの評価ですが)
話を聞いてみると、リレバン力で優れている割には、まだまだ地元での与信リスクを取り切れていないようです。
競合金融機関も手堅いスタンスなので、いわゆるミドルリスク層には大きな空白地帯があります。
これだったら、イケると思いました。
有価証券運用ポートフォリオの含み益は底が見えていますが、さらには評価損に転落するかもしれませんが、評価損となっても、もう一つの大きなバッファ(↓)で吸収することが十分可能です。
手堅い融資姿勢のおかげで積み上がった「手厚い貸倒引当金」です。
経営改善/事業再生支援を粛々と全員運動で進めていけば、貸倒れに対する備えもそこまで強固にする必要はないでしょう、、、金融検査マニュアルもないし、ポイントは監査法人ですかねぇ。
と、話が弾みました。
蛇足ながら、リレバン軽視の金融機関から、「有価証券運用のやられをどうしたら良いか」とのご相談を受けても、ワタシには処方箋は書けません。
まあ、そういう金融機関とは親しくないので、そういう話はありませんが、苦笑。