連休ど真ん中の5月2日、「株主提案」と「(続)株主提案」の2本のブログを書いていて、
「低迷するPBRと円安が、上場地銀による地域へのコミットメントを困難にする」
との懸念が頭から離れなくなりました。
地域金融機関の経営は「経済合理性」と「社会性」のバランスが要求されるのですが、
海外勢の中には「社会性」には一瞥もせず、短期的視点で株主還元を強く迫る投資家も少なくありません。SDGsの視点などどこ吹く風です。
株主還元を迫る海外投資家に対し、トラバン地銀(経済合理性一辺倒ですから)は反論の余地なしですし、社会性を重視するリレバン地銀は地域コミットメントによる長期的視点での持続と成長を主張しても「知ったことじゃない」と黙殺される可能性大です。
このような海外投資家が増える状況下において、上場地銀が地域の小規模事業者や業況の厳しい事業者を支えていくことは容易ではありません。
上場地銀は、それなりの規模を有する事業者や成長性の高い事業者との取引に傾斜していかねばならないでしょう。
生業層など小規模事業者との取引を続けようとするのなら非上場です。小規模事業者しかないような取引基盤の地銀が上場を維持する意味が果たしてあるのかと考えてしまいます。
本邦の事業者の大多数は小規模事業者であるのは周知の通りですが、ここを支えるのは協同組織金融機関、信用保証協会、そして非上場地銀という図式が見えてきます。
ところが協同組織金融機関は全国に満遍なく存在するわけではなく、経営不振などにより再編が進み、空白地となっている地域があります。
我が町の金融機関が消滅することはコミュニティにとって由々しき問題であり、旅芸人ブログでは空白地に新たに協同組織金融機関を作る必要があるとの提言をおこなっていますが、真剣に考える時期に来ていると思います。
形体は融資に比重を置いた代理貸付を主体とするナローバンク。ただし確固たるガバナンスは必須です。
さらに、信用保証協会。
こちらの問題は、各協会によって経営支援業務に大きなばらつきがあること。旅芸人ブログでは再三発信しています。
この期に及んで、ゼロゼロ融資等で地域で実質的に最大の信用リスクをとっているという自覚が欠落している信用保証協会が少なからずあることは理解できません。
このばらつきを早急に是正することが小規模事業者の存続のために不可欠です。